Among the thugs。
NAKATAが現役引退表明。ニュース速報が「HERO」でテロップで流れた程の衝撃ニュースのようだが、別段驚く程では無い。中田の選択らしい選択だ。日本代表敗退後、産経新聞のやたら細かいサッカー解説記事を読んでて、よく出てたフレーズ。「中田の涙は、日本代表への絶望の涙だ。」。本気?冗談ではない、コッチが絶望したのは中田にだ。「絶対に勝たなきゃいけない…」ブラジル戦試合直前、同じく共に戦う他の日本代表達の前で中田と同じNIKEガイのロナウドやロナウジーニョ達と得意の英語(かイタリア語)でセレブらしく談笑。これが今から王者ブラジルと決死の戦いをする戦士の態度か、それを見せられた中田の戦友達の決意はどうなる。中田も中田なら、試合後の玉田のコメントも決まってた。「悔しいです…あの1点がブラジル本気にさせちゃったかなって…。」、あなた達本気で勝つ気は無かったの。川口だけは最後まで戦っていた。
中田は最高にクレバーな選手だ。自分の商品価値を誰よりも知ってる。今回の日本代表の3戦、海外のスカウター達の日本選手評価は「日本選手に見るべき選手はいない(中田も含めて)。」だった。ユーロサッカー界で生き抜いて来た中田はそれを十分理解していたはずだ。イタリアに渡ってから8年7チーム、最初のペルージャ以外ではMFとして定位置を得られずに短い時間で各チームを転々とし、最後はプレミアリーグの古豪ボルトン。ここでも内容は同じ。このWカップでは全く良いとこは無かった。これが終わったらボルトンは出るだろう、そうしたら次はスコットランドリーグか?クロアチアリーグ?フランス2部?、いやいや、可能性大はJリーグだ。決勝リーグに残ってれば話は別だった。中田は分かってた、今、輝かしいキャリア(日本のファンにとって)で現役引退すべきだ、そうすれば自分はまだまだNAKATAだ。日本で多くの特別番組のガイドやナビゲーター、企業の仕事があるだろう、得
意の言語を活かして世界中に行ける。派手好きな彼の性格からして、すぐにチームコーチ等の役は選ばない。ブラジル戦後、中田の流した涙は負けた悔しさもあるだろう、でも大きかったのは自分のサッカー選手キャリアがこれでほぼ決まったやる瀬なさだろう。
「Amomg the thugs」、直訳は「ろくでなしの中で」。イングランドのバリバリのフーリガン達の中に潜入生活し、彼らのサッカー観、荒んだ生活をルポしたアメリカ人ライターの本だった、ぶっ飛んだ。フーリガン、今はポーランドや旧東独のフーリガンが悪名高いが、彼らにとってサッカーはゲームやマッチじゃない。それは自分達の行き場の無い荒んだ生活のはけ口であり暴力を発露する為の戦いなのだ。顔面にこんな入れ墨を入れる、「ブルータルアタック(野蛮な攻撃)」「レイシズム(人種差別主義)」。そんな連中が周りにいるから、ユーロサッカー選手達は負けられない試合では必死になる。ベッカムすら負けそうになると必死の形相になり号泣する。その著者が日本人サポーターについてこう書いていた。「彼らはスタジアムで裸になりビールを飲みモヒカン刈りの若者もおり相手にブーイングをし、我らのフーリガン達と変わらない。ところが試合が終わって私は信じられない光景を目にした。彼らは自分達で投げたゴミを自分達で持参したゴミ袋に
拾い始めたのだ。」
他の多くのスポーツと違い歴史上、サッカーは国家間の戦争の代理なのだ。時にサッカーの代理に戦争をする(非常に馬鹿げているが)。そんな国々のサッカーファンが育てるサッカー選手に、サッカーファンの温室育ちの日本選手達が互角の戦いをするのはいつだろう。引退後のビジネス等考えずにサッカーに命を掛ける本当のワールドクラスの選手が出るのはいつだろう。アメリカ大会でブラジルを王者に正に導いたFWロマーリオは現在40才、今だ母国ブラジルでプロとして現役だ。