bikescafe.jp

(2008-4-11)

桜は満開。

高原の朝と全く変わらない清々しい空気です。小雨は上がって、角田山が麓から姿を現し始めました。旧運動場跡の桜は満開です。昨日今日の低い気温のお陰で週末まで余裕をもって維持しそう。桜はたまらなく、きれいですネ。




(2008-4-11)

思いやる。

20代の会社員時代の事。会社仲間の一人が県内のある街から、数泊を要した出張を終えて帰って来た。仕事を終え、彼と二人で下らない笑い話しをいくつかした途中で彼が言う。「あの街で淋病もらっちまったよ、また医者行かないと。」、どんな夜だったの?と理由を聞くと、その街の取引先から接待を受けた夜、数件はしごした後でホテルに向かう道の途中、夜の闇の街頭に立つ男から「お兄サン、いい娘いるよ。ゴムは要らないよ!〜万でどう?」と誘われた。数10分後、彼のホテルの部屋に送られたその娘サンは、外見は可愛い、今時の普通の20代前半の女の子だった。だが、明らかに知的障害がある方でもあったのだ。彼はほんの少し、ほんの少しだけ最初に罪悪感を感じたものの、酒は欲望を増大させる。ポン引きの約束通りに「ゴム無し、全放出」で事を楽しんだ。彼女はそれが当たり前だったらしい、初めてではなかったのだ。 その話を彼がし始めるまで馬鹿話に笑っていた僕は、眉間に皺を寄せて疑った。「なんだって!?嘘だろ!?障害のある人にそんな事するなんて…。」、彼は言う「かなり酔ってたんだよ…悪かったと思うけど俺だって病気もらったんだ。もう絶対しないよ…」 今日、半分お店の仕事で古町万代と寄った帰り、「エル・アターブル」を買いに入った書店で「累犯障害者」(元国会議員の山本譲司氏著書。)を、内容に頭をガンガン揺られながら読む。上に記したような事は日本全国で代々繰り返され(勿論今夜も。)、現代はさらに酷い事になっている事(安住の地を求め刑務所入りを切に願う累犯障害者達、聾唖者を食う聾唖者だけのヤクザ組織、障害者が加害者と分かった時点で事件の報道を止めるマスコミ。)を知った。僕が「普通」に生きられる社会が、僕自身が「障害者」の境遇に思いを巡らす事も無く、多くの場合、彼らに酷い状況をもたらしている。同時に僕は感じていた、知っていた。古町や万代や、銀座や青山や、新宿や渋谷や、またはバイクスの店内や、そんなきらびやかな場所で毎日催されているお洒落なお客様方のお洒落な時間、そういうものは実は人間の人生の中の光が当たる一部の側面でしかない事を。僕自身がそうだ。「生きる為だ。」と自分を納得させ、エルやマリクレやフィガロ、エル・
アターブルや映画のように綺麗な物、イケてる事ばかりを見たがり、それが仕事の勉強になってると思い込みたがる(実際そうなってはいても)。でもそうした事をしながらも反面では、(これは人間の業の「上澄み」でしかない…)とも分かっている。ネット書評を読めば少なからずマスコミの「報道を止める」責任を批判してあるが、批判すべきは多くの「僕ら」自身だと思う。もっと、小さくて地味でも心からの「思いやり」をありとあらゆる社会的弱者の人々(高齢者だってそうだ。)、または社会的マイノリティにもたらすべきなのだ、そうならないこの国に怒りを表すべきなのだ。今日の日本は多くの要因で、ハートのある人間らしく生きるのが困難なのは商売をしてると分かる。永田町の一団が加担して作られて行く、生き難い社会に負けたくはないと思う、ハートを忘れたくないと思う。機会があれば「累犯障害者」、ぜひ一度お読み下さい、良い書です。おやすみなさい。




(2008-4-10)

マイブルーベリー。

上堰潟公園は最高の公園。本当はこの中でバイクスをやりたい位。僕の中でこの公園以上なのは、アメリカにいた時の学校の敷地の側を流れる、全米屈指の渓谷サーモンリバーに沿って広がる公園くらい。学校敷地にいながらレインボートラウトが釣れたり、スティールヘッド(太平洋降海遡上したレインボー、超巨大化する。)すら時に上がる巨大な渓流で、スネークリバーに並ぶ渓流な訳だからこの公園が素晴らしく美しく、鱒釣り師やリバーラフター達にとって天国的なのは当たり前で別格。だから実質的に上堰潟公園は個人的に1位です。数多い種の野鳥や自然の潟を間近に見ながら歩道をウォーキングしたりピクニック出来るこの公園は新潟市の宝だと思う。今日も、桜は満開、菜花もそよぎ、水鳥は舞い、水面は波打つ。帰って、しておかないと困る仕込みを幾つか手掛けて。トマトソースを作りアイスを廻してパンの粉の分量を量ったり。
で、夜。いよいよ「マイブルーベリーナイツ」。時間ギリだったのでアクセル踏みっ放し。予告編の最中に間に合った。静かに、淡々と進む良い映画。ウォン・カーワァイ監督は上手いなぁ…と思う。当初は(ジュードロウとノラジョーンズの恋物語が軸なんだろうな。)と予想していたけど、8割がた、ひどい失恋で大きく傷ついた彼女が1年に渡る全米の旅の中で少しづつ治癒していくのをゆっくり描く物語。ジュードロウファンは必見という位、彼の甘いマスクのアップが多い。彼の役はNYの片隅のカフェオーナー。性格優しく一途で甘いマスク、なのに彼女いないなんてあり得ない!と全てのバイクスマガジン類に書いてますし、ウォン・カーワァイも同じ事言ってます。が、傷付きやすい男を演じさせたら当代一という象徴がジュードだったそうです。彼の役どころに、勝手にシンパシーを持っていましたので、「マイブルーベリーナイツ」は観たかった映画でした。クローズ後の厨房で僕もよくやるポーズを彼がした時は、(よくリサーチしてる
なぁ。)と感心しました。つまり夜中に厨房の作業テーブルに座り、前面のオーブンのドアのハンドルに足をかけ何かパクついたり飲んだり。私生活では美女シエナ・ミラーを袖に振る位プレイボーイな彼ですが、劇内では善い人役に全く無理がありません。惚れますわコリャ。ノラ・ジョーンズも初役者、初主演とは絶対思えない自然な上手さ。本当に上手い!ジュード・ロウ、レイチェル・ワイズ、ナタリー・ポートマン、デビッド・ストラザーンら超トップ実力派を相手に優らずとも全く劣っていません。可愛い過ぎないのがリアルです。
万人にお勧めして「面白い!」と思われはしないと思いますが、失恋間もない人や、まだ会えぬ恋人に出会いたい…と思っている人には小さな勇気の出る佳作です。それにしても観てる人居なかった!新潟で観た映画でダントツ一番観客がいなかった。ずうっと僕だけかと思ってたら、終わって知ったのですが一番最上段に女性お二人だけ静かに観てらして、(他にいたんだ…!)とチョッとビビッた。映像もサントラもシャレてますし、カップルで観るのにも良い映画に思うのですが。願い通り観れて良かった良かった。